ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「風邪をひいちゃいますから」
と押し切り、荷物はダイニングの椅子に置いて、キッチンにやってきたところで困った。
普段は今井さんが作り置いてくれたお茶を飲んでいるので、お茶の淹れ方が怪しいんだ。
家政婦さん任せにしているせいなのか、家事ができない。
というか、やったことがない。
お茶の淹れ方一つわからないなんて、私、やばくないか。
今まで気にしたこともなかった自分の現状に、心がヒヤッとする。
とりあえずは流しの後ろにある冷蔵庫を開けて、
今井さんの淹れ置いてくれたお茶がないことを確認する。