ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

星になる


話しているうちに、視界がぼやけ、声が震える。


私は何度泣くのだろう。


泣いたって解決はしないとわかっているのに、やっぱり涙は流れてしまう。


お父さんはすっかり冷たくなった手で、私の涙を拭ってくれた。


私は今更ながらに、お父さんがコートも来ていないことに気付いた。


シャツとセーターでここにいる。


そうだ、お父さんの部屋にコートがあった。


リビングからそのままの格好で外に出たのも見た。


それなのに、お父さんが寒空の中、薄着で出て行ったことに気付いてなかった。


いかに自分の視野が狭いのか思い知る。


私は、少しでも熱を分けられたらとお父さんの手を掴み、両手で包み込んだ。

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