ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「そうだな。父さんもまだまだ学ばなければいけないことはたくさんある」
「私も、お父さんには負けないんだから」
「そうか」
私たちはベンチに並んで座った。
薄着のお父さんが心配で、早く家に帰りたかったけど、
お父さんはもう少し二人で話がしたいと言ったんだ。
「昨日は本当に済まなかった」
「それはもういいの。でも、どうして帰宅が遅くなったの?」
昨日に限らず、お父さんの帰りが遅ければ、こうやって訊けばよかったのだ。
今までは何もせず、本当に仕事なのか、私を避けているだけなのではないか、と疑っていた。
疑うだけで何の行動もしなければ、何も解決しないというのに。