ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

「ねえ、今度またお母さんのことを教えて」


「ああ、そういえば、写真も見せたことがないのか。父さんの部屋にあるんだ」


私はお父さんを見た。


「捨てたわけじゃないんだ……」


「そんなわけないだろう。大事に保管している。ただ、小さい頃の茜は写真を破って遊んだから、茜の手の届かないところに仕舞って、そのままになっているんだ」


「私、そんなことしたの?」


「ああ。写真に落書きもされたな」


お父さんは思い出すように笑った。


「うー、ごめんなさい。もうそんなことしないから」


「わかってるよ。さて、帰ろうか」


お父さんは立ち上がった。

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