ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「あ、崇さん、ごめんなさい。せっかくご馳走を作ってもらったのに……」
「本当になー」
「う……」
そんなことないよ、と言ってくれるのを想像していたので、返事に詰まった。
私はちらし寿司を作るだけでも2時間近くかかったというのに、
崇さんは何時間かけて用意をしてくれたんだろう。
好意を踏みにじってしまった。
反省することが多すぎる。
「ま、温めたら食べられるから」
崇さんは私の肩にぽんっと手を置いた。
その手が温かくて、嬉しいと同時にこそばゆい。
この手がずっとそばにあればいいのに、とそんなことを思ってしまう。