ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
私の髪は腰まで伸びていて、真衣はショートカットなのだ。
真衣のうなじを見るととても寒そうで、だから大騒ぎするのだなと納得する。
真衣はコートだけではなく、マフラーも置いてきたことを後悔しているんだろう。
私は足を止め、提案をした。
「真衣はお弁当なんだし、教室で食べてくれてもいいよ」
「茜だけ食堂で食べるってこと?」
先に行きかけていた真衣が振り返ると、眉を寄せた顔で言った。
怒らせただろうか。
不安になりながらも、もちろん、と頷く。
お弁当はないし、パンも何も買ってきていない。
うちの高校に購買部はないので、食堂へ行かないとお昼を食べられないのだ。