ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

作り置きのおかずは夏になると傷みやすくなるそうなので、

それまでに全部のおかずを自分で作れるようになればいいな、と思っている。


先月より前の私だったら、こんな風に作れるようになるなんて全く考えていなかった。


人間、やればできるもんだ。


「よしっ」


詰め終えたお弁当がうまくできたと眺めると、私はスマホで写真を撮った。

それを崇さんに『今日もなんとかできました』とメッセージをつけて送信する。


お弁当は大きめのハンカチに包んで、結んだ。


ちょうどそのとき、「おはよう」という声がかかる。


顔を上げると、ワイシャツ姿のお父さんがキッチンカウンターの向こうで微笑んでいた。


「おはよう、お父さん。はい、お弁当」

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