ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
私は出来たてのお弁当をカウンターに置く。
「ありがとう。あれ、茜の分は?」
一つしかないお弁当を見て、お父さんは不思議そうな顔をした。
お弁当を作り出したのは、年が明け、お父さんの仕事が始まった4日からだった。
私は冬休みで必要なかったのだけど、
どうせならと思って自分のお弁当も作って、家で食べていたんだ。
でも、今日はお父さんの分しか作っていない。
買ったばかりの私の赤いお弁当箱は水切りカゴに伏せて置いたままだ。
「今日は始業式でしょ。半日で終わるから、帰りに真衣とご飯食べて帰るの」
「そっか。昼間だから大丈夫だとは思うが、帰りは気をつけなさい」