ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
その手には、真冬だというのに手汗がにじんでいる。
大丈夫、大丈夫。
私は大きく深呼吸をして、気持ちを落ち着けた。
そして、扉を開けた。
中に入ってすぐのところで、佐藤さんと大園さんが笑いあっていた。
二人はこちらを見ると、表情が固まった。笑顔が消える。
その顔を見るとくじけそうになるけど、
私はさっき崇さんからもらった『頑張れ』という言葉を思い出していた。
大丈夫、頑張れる。
私は二人に向かって歩くと、「お、おはよう」と声をかけた。