ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
返事を待つ勇気はなかった。そのまま、自分の席に向かう。
その私の背中に、「……おはよ」と小さな声が届いた。
驚いて振り向く。
もう二人はこちらを見ていなかった。
でも、確かに、佐藤さんの声だった。
緊張がほどけ、私は自分の席に座り込んだ。
心臓はまだドキンドキンと大きく脈打っている。
「茜、頑張ったじゃん。はい、ご褒美」
と言って、真衣は私の机にキャンディーを1個置いていった。
ご褒美が飴ひとつって……と思いながらも、嬉しくて、私は早速口に入れた。甘い苺の味がする。