ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

返事を待つ勇気はなかった。そのまま、自分の席に向かう。


その私の背中に、「……おはよ」と小さな声が届いた。


驚いて振り向く。


もう二人はこちらを見ていなかった。


でも、確かに、佐藤さんの声だった。


緊張がほどけ、私は自分の席に座り込んだ。


心臓はまだドキンドキンと大きく脈打っている。


「茜、頑張ったじゃん。はい、ご褒美」


と言って、真衣は私の机にキャンディーを1個置いていった。


ご褒美が飴ひとつって……と思いながらも、嬉しくて、私は早速口に入れた。甘い苺の味がする。

< 411 / 445 >

この作品をシェア

pagetop