ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

慣れた人なら、こういうところまで綺麗に扱うのだろうか。


「きわめ付けは、使わない片手鍋が出しっぱなし」


少年の指さした先には、確かに片手鍋を置いたままにしている。


「なんか危なっかしいと思って見ていたが、段取りがめちゃくちゃだ。慣れてないからだろ」


「うう……その通りです」


正論すぎて言い返せない。


「その、なんかすみません」

「謝ってばっかだな」


その言葉にまたもやドキンとする。


何かあれば、とりあえず謝っておけば波風は立たない。癖のようになっているのかもしれない。


出会ったばかりだというのに、少年に見透かされた気がした。

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