ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「あった」
少年が手にしているのは土生姜だ。
次に、紅茶のリーフを置いていた棚を探している。
「お、カルダモンなんかあるのか。シナモンは見当たらないが、これがあればちょうどいい」
少年は独り言のように言った。
私に背を向けているので顔は見えないけど、嬉しそうな声だ。
「あとは……砂糖は?」
「それはここに」
グラニュー糖の入った入れ物を差し出す。
「サンキュー」
生姜とカルダモンと牛乳で何をするのだろうと見ていると、
「ぼさっとしてないで、茜は片付けろ」と注意が飛んでくる。
慌てて台を拭きながらつぶやいた。
「……呼び捨て」