ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
初対面でそれはいい気がしない。
「親父さんも桂木さんだし、どっちも桂木さんはややこしい」
「それはそうかもしれないけど」
お父さんの仕事は忙しいようで、帰宅が遅い。
私が寝てから帰ってきて、起きる前には出かけるのだ。
時には、帰ってきた形跡のないこともある。
私はそのことを説明した。
「だから、紺野崇がお父さんと私、両方一緒に会うことなんてないですよ。どちらも桂木で問題ありません」
呼び捨てにされた私は意地になって、わざとフルネームで呼んでみた。
「茜、それじゃ、家にほとんど一人でいるってことか」