ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
ただ、直接会って話したわけではないので、どういうシフトで働いているかは伝えてない。
私がバイトしていることを忘れている可能性もある。
「なんというか……」
崇さんが立ち止まり、私の顔を見つめる。私も同じように見返した。
「おまえたちは色々と足りないんだろうな。言葉とか、コミュニケーションとか」
「そう、でしょうか」
「ま、オレも人のこと言えないんだけどな」
「え?」
さっきまで真っ直ぐだったはずの崇さんの目が泳いでいる。
「うちも共働きで、しかも母親が所長なんてやってるから忙しくてさ。家では一人でいることが多かったんだよ。でも、だからかな。それが正しいとも思えないんだ」