ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
崇さんは私に返事もせず、キッチンへ行く。その姿を呆然と眺めた。
言われた通りにするのは癪(しゃく)である。
でも、このままご飯ができるのを待つというのも居心地が悪く、結局、自分の部屋へ向かった。
5分後、私はセーターとジーパンに着替え、今井さんが我が家に置いている予備のエプロンをして、
キッチンに立っていた。
崇さんに負けた気分だ……。
軽く落ち込みながらも、手を洗って、何をしたらいいのか指示を仰ぐ。
「まずは茜にもできそうな作業からってことで」
崇さんはレジ袋の中から何やら取り出して、私に見せた。出汁パックと書かれたものだ。
「これで味噌汁用の出汁を取る」
「お出汁って難しいんじゃ……?」