あんたの代わりは、いないから。
「んー、どれ?」
大して興味はなかったけれど
あたしは"その人"を探した。
「ほら、あの人!」
瑠依ちゃんが見ている視線の先には…
ちょうど校内に入ってきた、ひとりの男の子。
「推定身長……179センチ」
不意にあたしは、ボソリと呟いた。
「どこが推定なの、ちょー細かいじゃん」
「…校則を遵守した黒髪に、黒縁メガネ。
パーフェクトな制服の着こなし。
おまけに頭脳明晰って…あの人、生徒の鏡だね」
「ほんとそれ。
……てか黒縁メガネは関係なくない?」
「……え?」
瑠依ちゃんのごもっともなツッコミに
あたしたちは思わず、顔を見合わせる。