あんたの代わりは、いないから。



「あら?2人とも知り合いだったの?」



不思議そうな顔をして
そんなことを尋ねる先生に
「いえ、あたしが一方的に
知っているだけで…」と呟いた。



……朝初めて知ったんだけどね。



「ところでせんせい、
お時間大丈夫ですか?」



大好きなさくら先生が大遅刻をして
ペナルティで転勤とかになったら嫌だよあたし。



あたしもついていく勢いだよ…
迷いなく転校するね。



…勝手にそんなことを考えているうちに
「わっ…もうこんな時間…!」と
先生の慌てた声が聞こえた。



「それじゃあ成田くん、お大事にね!
茉梨乃ちゃん、成田くんのことよろしく!」



「はーい、行ってらっしゃいです」



「行ってきます!」



手を振りながら、
あたしは先生を見送った。



__ピピピピッ…



そして、それと同時に
彼が持っている体温計が鳴る。


< 19 / 83 >

この作品をシェア

pagetop