あんたの代わりは、いないから。



「何度だった?」



「熱ないので、全然大丈夫です」



そう言って、
イスに座ったままニコッと笑うのは
179センチの後輩くん。



近くで見ると、かなりの美形男子。
くっきり二重に、スーッと通った鼻筋。



笑ったときに、ぷくっと出る涙袋は
なんとも可愛い。



……母性本能、くすぐられた。



「生徒の鏡は、笑顔も120点なんだね」



ふっと笑って、あたしがそう言うと…
後輩くんは首を傾げた。



120点の穏やかな微笑みは、
まるで営業スマイルみたいだ。



それも、熟練された笑顔技術。



小さい時からこうなのかな、って
なんとなく思った。



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