あんたの代わりは、いないから。
キッチンに行って、
ペットボトルに入った水を飲みながら
幼い頃を思い出す。
自分が育った家。
……父親に、支配された家。
芹沢家に、カースト制があるならば
間違いなくお父さんがトップだった。
何も言えない母親。
言いなりのあたし。
嫌いだった。
自分の考えだけを押し付ける、
お父さんのこと。
お父さんの顔色ばかりうかがう
お母さんのこと。
そして何より
操り人形みたいな、自分のことが。
みんなみんな、嫌いだった。