あんたの代わりは、いないから。



「んーと、後輩くんは
みんなの後輩くんなんだっけ?」



『さっきそんなことを言っていたなあ』と
思い出しながら聞き返す。



「そうです。成田くんは、みんなの憧れなんです。みんなのものなんです…!だからっ…」



「わかったわかった」



思わず、やけくそ気味に返事をしてしまった。



……なんか、面倒くさくなってきちゃった。



「じゃあ、みんなの後輩くんなら
あたしの後輩くんでもあるよね?」



にっと笑って、そんなことを言ってみた。



「そ、それはっ……」



「つまり、後輩くんはあたしのもの。
だからこれからも、絡んでいいでしょ?」



…我ながら、すごい理屈だなって思った。



そんなこと、思いついたあたしが
たぶん1番びっくりしてる。



「………」



彼女たちがフリーズしている隙をついて
「では、委員会があるので」と
逃げるように階段を上がった。



……あれ?



平和主義だったはずなのに
さらに悪化させた気がするな。



……まぁ、いっか。とりあえず。


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