あんたの代わりは、いないから。
「委員会、遅刻決定だ……」
腕時計を見て、あたしは足早に階段を上って
華麗に踊り場をUターンしようとした……そのとき。
「ゔっ……」
方向転換した直後、鼻に走る激痛。
「いっったあ……」
……本当にさよなら、鼻の骨。
…って、あれ。
なんかこの痛み、初めてじゃない……。
不意に見上げると、そこには
人差し指を口の前に立てた後輩くんが、
穏やかに微笑んでいた。
「シーじゃないよ。
……後輩くん、もはや確信犯だね…。」
鼻を押さえながら、そんなことを言ってみると
まるでとぼけるように、首を傾げた。
……今日も可愛い。
だけど悪い子。一体この子は
いつからここにいたのだろうか。