あんたの代わりは、いないから。
「っ…なによ、年上だからって偉そうに」
「もう行こっ…!!」
そんな声と共に、ズンズンと去っていく
女の子の足音。
「あら…」
……割とここから、丸聞こえだった。
「茉梨乃センパイ」
「……はい」
相変わらずニコニコしている後輩くんが
あたしの名前を呼ぶから
…ドキリとした。
「僕は、先輩のもの…なんですか?」
「っ……」
__『後輩くんはあたしのもの。
だからこれからも、絡んでいいでしょ?』
……やっぱり、さっきの会話は
丸聞こえだったらしい。
「ふふっ…そう、みたいだね」
そう言って、
あたしは誤魔化すように背伸びをして
今日もお気に入りの髪の毛を
くしゃくしゃした。