あんたの代わりは、いないから。



「っ…なによ、年上だからって偉そうに」
「もう行こっ…!!」



そんな声と共に、ズンズンと去っていく
女の子の足音。



「あら…」



……割とここから、丸聞こえだった。



「茉梨乃センパイ」



「……はい」



相変わらずニコニコしている後輩くんが
あたしの名前を呼ぶから



…ドキリとした。



「僕は、先輩のもの…なんですか?」



「っ……」



__『後輩くんはあたしのもの。
だからこれからも、絡んでいいでしょ?』



……やっぱり、さっきの会話は
丸聞こえだったらしい。



「ふふっ…そう、みたいだね」



そう言って、
あたしは誤魔化すように背伸びをして



今日もお気に入りの髪の毛を
くしゃくしゃした。



< 60 / 83 >

この作品をシェア

pagetop