あんたの代わりは、いないから。



不意に教室の前で、
不機嫌オーラを漂わせているわたるを
見つけてしまった。



……背中がヒヤリ。



「あー…ごめん後輩くん。
先に謝っておく、ほんとごめん」



「…え?」



そう言って、視界で後輩くんが
不思議そうにこっちを見た……そのとき。



「おい茉梨乃」



…と、低い声が廊下に響いた。


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