あんたの代わりは、いないから。
「や、やあ。
わたる、部活で遅くなるって……」
「そうだよ。
なのになんで俺よりおまえの方が遅いんだよ。俺言ったよな、先に行ってろって」
そう言って、わたるはあたしを睨みながら、
頬をぎゅっとつねってくる。
「い、いひゃい(痛い)……」
「おい、言い訳してんなよ」
「や、まだひてない……」
「……つーか、2年も一緒だったのかよ。」
わたるは後輩くんをチラッと見たあと
ボソッと呟く。
「で、なんで遅刻してんだよ」
「……あの、いつもの階段がなくなってて…」
「次ふざけたこと言ってみろよ。
これ引きちぎるかんな」
そう言って、さらに強くなる頬の痛み。
「っ~~!」
__身の危険を感じて、素直に謝ると
ようやく手を離してくれた。
そして、自分の頬を擦る。