あんたの代わりは、いないから。
「もう、なにをそんな怒って……」と
あたしはわたるを見上げると…
わたるの視線は、
なぜかあたしの頭上を超えていて……__
「…ん?」
不思議に思って、その視線を辿っていくと
そこには、わたると違って
愛想の良い後輩くんがいる。
「……?」
状況がうまく読み込めず
あたしは交互に2人を見つめる。
……なにをそんな見つめ合っているんだろうか。
……いや、見つめ合ってる、という表現は
ちょっと違うかもしれない。
……睨んでる、
めっちゃ睨んでるよ、一方的にわたるが。
でも、わたるは元々目つきが悪いからな。
それはもう、どうしようもないことで。
「……ねえ、
後輩くんの顔面が国宝すぎて
見惚れてんの?」
この光景に飽きたあたしは
わたるのネクタイをツンと引っ張って
我に返らせてあげた。