あんたの代わりは、いないから。
「……あ?おまえまだいたのかよ」
「…泣いていい?」
「いいから早く教室入れよ。
そして教卓にあるプリントでも配っとけ、
遅刻魔が」
そう言って、わたるはシッシとあしらう。
「ほんと扱い雑いなぁー…」
なんて言いながらも、素直に従う。
……素直に従う理由は、
さっきつねられた頬が
めちゃめちゃ痛かったからだ。
女の子に、容赦ない。
__教室に入る前。
あたしは2人のことをチラッと見た。
「……後輩くんと話すきっかけが欲しかったなら、あたしに言ってくれれば良かったのに」
何を話しているのかは
分からないけど……
「ほんとわたるって素直じゃないなあ……。」
やれやれと思いながら、
あたしはガラリと教室に入った……__。