君が思い出になる前に…
とりあえず購買に行ってみるか…。
「買ってくるよ…」そう言ったけど、健太はすでに弁当食べ始めてる。
となりの加賀紀子はポニーテールの中原真理絵と向き合って弁当を食べてる。
おぉ~、ふたりともかわいいお弁当だこと。
「ちょっとぉ、見ないでよぉ」
紀子が恥ずかしそうに言った。
「あ、ご、ごめん…」
なんだかなぁ、数学の時間に言った一言、まだ引きずってんのかよ。
意識しすぎだよ…。購買、行くか…。

思ったとおり、購買は凄い人だかり。
昔なら無理やり割り込んで行って、パンをゲットしてたっけなぁ。
けど、今はそんな気力ないよ。
しょうがねぇ、待つか…。
壁に寄りかかり、しゃがんでその人だかりをみていた。

しばらくぼんやりしてると揚げパンとコロッケパンが目の前に飛び込んできた。差し出す手の方をみると、女の子が立っていた。
す、す、杉下絵美だ!
おれが初めて付き合った彼女だ!
昔とまったく変わっていない。本当に時間が止まってたみたいだ…。
今見ても、可愛いんだけど!
長い髪を三つ編みにして、白いソックスがやけに眩しい。
スカートは少し短めだけど…。
とても清楚な感じがする。
隣のクラスの子で、おれが告白して始まったんだよなぁ。
なんか胸が急に熱くなってきた。
ドキドキするよぉ。本当に15年前に戻ったんだって改めて認識してしまった。

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