君が思い出になる前に…
「部活、遅れんなよ~」
そう言って谷口はどこかに行った。
部活…。そうだ、バスケット部。レギュラー入りできずに最後まで補欠のまま、7月の地方大会で引退。
ゼッケン『15』がおれの定着番号だったっけ。
まぁ、最後までふてくされる事なく、よくやり遂げたもんだ。我ながら立派です。
谷口は、2年の時からレギュラーだったっけ。だからいつもおれを下に見てたんだ。
今考えてもムカつく…。

窓の外、校庭で紀子と真理絵がバトミントンをしている。なんか眩しいなぁ~。
ん?ちょっと待て…。
このシーン、前に見た記憶があるなぁ…。なんかやたらに強い印象が残っているんだけど…。
なんだっけかなぁ…。
「元宮く~ん、いっしょにやろぉ?」
外から真理絵が手を振っている。おれが見てるのに気づいたんだ。
あっ!そうだ!!
思い出した!
誘われて、どうしようかウジウジ悩んでたら、紀子がサッカーボールを追いかけてきた男子とぶつかるんだ!そして倒れた拍子に脳しんとうをおこすんだった!
グズグズしてらんない!
急いでいかなきゃ!!
教室を飛び出し、上履きのまま外に走っていった。
「加賀ぁ!あぶなーい!!」
男子が紀子に気づかず、走ってくる。
とっさに紀子の体を引っ張った。と同時に紀子の体ギリギリを男子生徒が走り抜けていった。
「なに!?」
紀子が掴んだおれの手を振りほどいて言った。
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