君が思い出になる前に…
恭子?恭子…、恭子って、
「姉さん?」
白衣を着て、聴診器を首からぶら下げている。なんで?
間違いない。
タンクトップと短パン姿でアイスクリームを食べてた姉さんだ。
しかし少し…、いや、だいぶ大人っぽくなっている気がするんだが。
「わかるんだね?」姉さんがおれの顔を覗き込んで言った。
「姉さん…、い、今って、何年?」
絵美にせよ、姉さんにせよ、凄く大人な感じがするんだけど…。
「平成19年よ。記憶がはっきりしないと思うけど、徐々に回復すると思うから。焦らなくていいよ。病院はあたしと母さんでなんとかやってるから…」
何の事だ?
いまいち意味が把握できない。
平成19年…?
元の世界に戻った?タイムスリップしたのか…。
元の世界に戻れたんだ…。
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