君が思い出になる前に…
ん?
元の世界?
姉さんがいる!
さっき、うちの病院って言ってなかったっけ?
と、言う事は…、
「パラレルワールドか…」
つい口走ってしまった。
「は!」
絵美には聞こえたのか?
一瞬、息を飲んだような気がした。
「え?なに?」
姉さんには聞こえなかったらしい。
よかった…。
「母さん、もう大丈夫よ。行って休みましょう、母さんが倒れちゃうわよ。ずっと付きっきりだったんだから」
母さんが付きっきり?
「そうね。もう心配ないわね。祐作も、ゆっくり休みなさい…」
そう言って母さんは、おれの腕をポンポンと軽く叩いて、にっこり微笑んだ。
「あとは、よろしくね、絵美さん」
身内がほったらかして、他人にそんな事頼むか?普通…。
どうしちゃったの?母さんも姉さんも。
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