君が思い出になる前に…
「あたしの担当医、元宮祐作ってなってたから…」

ベッドの頭にぶら下がっているネームプレートを指差し、紀子が言った。

「そうらしいね」

半笑いで答えた。

「お久しぶりです」
そう言って頭を下げる紀子。

「元気になって良かったね」


15年振りに再会した会話としては、少し味気ない気がした。
「お陰様で…。じゃないわね。元宮君、じゃない、元宮先生のお陰よね」

「よしてくれよ。先生なんて」

頭の後ろをかきながら言った。

「あなたに助けてもらったの、これで二度目よね。15年前に助けてもらって、今回もまた…」

「巡り合わせだろうかね…」

「迷惑ばっかりかけちゃって…」

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