君が思い出になる前に…
「そんな、そんな言葉で片づけていいの?」

「片づけているつもりは無いよ。きっと何かおれたちの知らないところで、不思議な力が働いていたんだよ…、きっと」
「パラレルワールド?」

不意に紀子が口にした。

「君も15年前にタイムスリップしたんだね?」

15年前に行った紀子しか、そんな事口にするはずがない。

ここにいる紀子は29歳の時にタイムスリップして、1年後おれと会った紀子に違いない。


「えぇ、そうなのかもしれない…。15年前に戻ってまた15年間をやり直した。そして、あたしが同じ事を繰り返さなかったから、タイムスリップ前のあたしの記憶とは、まったく違う人生になった…」

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