君が思い出になる前に…
校門を出てふたりで歩き出した。
「手ぇ、繋ご」
絵美が言った。
おれは照れながら無言で手を繋いだ。
確か2~3度くらいあったかな?こんな事。
今おれ、完璧15歳してる…。かも。
「明日からテストだね」
「うん」
今はそんな事どうでもいい。
ちょっと冷たい手、けど柔らかい。この感覚、忘れてた。
懐かしさが蘇ってくる…。
「ねぇ、テスト終わったらさぁ、遊園地に行かない?」
絵美がうつむき加減で、恥ずかしそうに言った。
「遊園地?」
「…ダメ?」
「ダメな訳ないよ、いいよ、いこ」
そうだ!2人で初めてのデートに行ったんだっけ。
でもその日は雨なんだよなぁ…。
だから映画に変更したんだ。何観たんだっけかなぁ、映画…。
たしか『スタンドバイミー』だ!
思い出した!懐かしい。

「じゃ、またね」
そう言って手をスルリと離し、バイバイしてる。
絵美の家に着いちゃった。
一言で言って豪邸。お父さんは何をしてるんだろう。
「うん、明日な」
恥ずかしい…
おれ、マジで15歳やってるよ。ヤバいなぁ…。
絵美の家から歩いて5分。我が家に着いた。
「ただいま~って、まだお袋帰ってきてないか…」
独り言を言った。
「お帰り~」
え?帰ってきてんの?
いつも7時過ぎないと帰ってこなかったのに。
「あれ、帰ってたの?」

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