君が思い出になる前に…
ん?ん?お袋?
ど、どうしたんだよ!?
セーラー服なんか着て!気でも狂ったかぁ!
「な、な、なんだよ!どうしたんだよ!お袋!」
「ばか!なに言ってんの?」
って、誰?お袋じゃない!
本物の女子高校生だよ!誰なんだよ!
「あ、あ、あの…どなたですか?」
「はぁ?何言ってんの?あんた」
あ、あんたっておれの事?
「なに見てんの?」ぶっきらぼうに言い放す女子高校生。
人の家で勝手にエプロンして台所に立っている。
でもそのメガネ顔、どっかで見覚えあるんだなぁ…。
どこだっけ?思い出せない…。
待てよ…、15年前の記憶を手繰り寄せるから……………………。
出てこない。ホントどちら様でしたっけ?
「あんた明日からテストでしょ?勉強しなくていいの?」
なんなんだ?この女子高校生は…。お袋みたいな口きいて…。
「夕飯まだだから、それまで勉強してなさい」
振り向きもしないで料理してる。
あ~!きっとお袋が近所の子に夕飯の支度頼んだんだな?
そんな訳ないか…。
誰だっけ?
誰だっけ?
思い出せないよぉ。
部屋に入って、机に座って、頭をかかえて、思いだそうとしているけど、まったく記憶がない…。
誰なんだ?ホントに…。

「ただいま~」
お袋だ!
「お帰り~早かったねぇ」
さっきの女子高校生が…、なんで?
「裕作は?」
「帰ってきてるよ」っておれの事話してるよ…。

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