君が思い出になる前に…
中に入って更にビックリ!マジかよ…これって、どういう事?どうなっちまったんだ?
教室の中も、見覚えのある同級生たちも昔のままだ!
「おはよう」
な、中原真理絵だ!ポニーテールに髪をまとめて。まるっきり昔のまんまだ。
彼女とは中学卒業以来まったく会ってなかった。だから何も変わってない。まるで時間が止まってたみたいだ。
「どうしたの?顔色悪いよ…」
真理絵が言った。
「な、なんでもないよ…」
なんでもない訳ないだろう。どう説明できるんだよ。
同窓会ならわかるよ。けど、みんながみんな15歳になってるんだぜ。おれも含めて…。

タ、タイムスリップ?でもタイムスリップなら大人のおれが時間を逆行するはず…。
なのに自分まで15歳になっている。だけど意識はしっかり30歳のまま。
どう解釈したらいいんだろうか。なんで15歳に戻ったんだろうか。
なにか理由があるはず。

「裕作、ホントどうしたんだよ、先生もうすぐ来るぞ」
健太が言うものの、この時おれの机ってどこだったんだっけ…。
「健太、お、おれの席…どこだっけか…」
聞きたくないけど…。
どんな返事返ってくるかわかっているから。
「お前、いつまでふざけてんだよ!」
やっぱりな。
そうだ!思い出した。窓際の前から四番目の席だった。
周りをキョロキョロ見渡しながら、思い出の席についた。
本当に授業受ける気かよ…。どうすればいいんだ?

こんな時に思い出した。数学は中1の時から3年間、意地の悪い婆さん先生だった。その先生が嫌いだったから数学も嫌いになったんだ…。
15年前の数学ができなかった言い訳を今、思い出してどうする…。
きた!その婆さん先生だ!
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