君が思い出になる前に…
陽がだいぶ傾いてきた。空が少しずつ赤みを帯びてきている。
海までは、家から自転車で五分くらいだ。
アーケード街を抜けると海が見えてきた。
自転車を止め、紀子を探した。
堤防の上に腰を下ろした女の子が見える。いた。
再び自転車に乗り、堤防の上を走っていった。
「おまたせ…」
自転車を降り、声をかけた。
「ごめんね…、わざわざ呼び出して」
半袖の白いブラウスに淡い水色のスカート。
夏も近いなぁって、感じがする。
夕焼けと潮風の匂い。夏少女…。なんちゃって。
なんかCMに出てきそう。
「どうしたの?なんかあった?」
隣りに座り、海を眺めた。夕日がだいぶ傾いてきた。
海にキラキラと太陽が反射している。
「昨日、家に帰っていろいろ考えてみたの…」
「なにを?」
反射光が紀子の顔を照らしている。
「あたし、この世界が好き…。正直言って、戻らなくってもいいかなって思っるの。元の世界には…」
昨日言ってた事か…。
『今は幸せ』って事だな…。
「この世界では父も生きてるし…、前は母も兄も凄い苦労したけど、この世界じゃなに不自由なく生活できてる。家の中には笑顔が溢れているしね。だから、帰りたくない。もう一度15年を繰り返してもいい。そう思ったの…」
うつむいて紀子が言った。
「わかるよ…。加賀の気持ち…」
小さくうなずいた。
「本当?」
「うん」
「…だからもう、考えるのはやめようと思って…」
いくら考えても答えは出てこない。この問題は…。
「うん、どうなる事でもないしね…。おれも全然分かんなくなってさぁ。まぁ、正直どうする事もできないし。加賀は一年かかって出した答えだもんな。賛成するよ」
昨日の話しを聞いたら、帰る事など忘れてしまいたいよな。普通は…。
海までは、家から自転車で五分くらいだ。
アーケード街を抜けると海が見えてきた。
自転車を止め、紀子を探した。
堤防の上に腰を下ろした女の子が見える。いた。
再び自転車に乗り、堤防の上を走っていった。
「おまたせ…」
自転車を降り、声をかけた。
「ごめんね…、わざわざ呼び出して」
半袖の白いブラウスに淡い水色のスカート。
夏も近いなぁって、感じがする。
夕焼けと潮風の匂い。夏少女…。なんちゃって。
なんかCMに出てきそう。
「どうしたの?なんかあった?」
隣りに座り、海を眺めた。夕日がだいぶ傾いてきた。
海にキラキラと太陽が反射している。
「昨日、家に帰っていろいろ考えてみたの…」
「なにを?」
反射光が紀子の顔を照らしている。
「あたし、この世界が好き…。正直言って、戻らなくってもいいかなって思っるの。元の世界には…」
昨日言ってた事か…。
『今は幸せ』って事だな…。
「この世界では父も生きてるし…、前は母も兄も凄い苦労したけど、この世界じゃなに不自由なく生活できてる。家の中には笑顔が溢れているしね。だから、帰りたくない。もう一度15年を繰り返してもいい。そう思ったの…」
うつむいて紀子が言った。
「わかるよ…。加賀の気持ち…」
小さくうなずいた。
「本当?」
「うん」
「…だからもう、考えるのはやめようと思って…」
いくら考えても答えは出てこない。この問題は…。
「うん、どうなる事でもないしね…。おれも全然分かんなくなってさぁ。まぁ、正直どうする事もできないし。加賀は一年かかって出した答えだもんな。賛成するよ」
昨日の話しを聞いたら、帰る事など忘れてしまいたいよな。普通は…。