君が思い出になる前に…
ん?
見た事のない建物がある。
商店街を抜けたところに、白い六階建ての建物。
15年前にはなかった。
元の世界でも見た覚えがない。
『医療法人和み会元宮病院…』?
なごみ会?和み?和美?元宮?病院?
これってもしかして母さんの言っていた?…。
行ってみようか…。
ガラス張りの正面玄関。
自動ドアが開くと、広いホールになっていた。
中はまだ新しい匂いがする。
床も壁もピカピカだ。
受付には夜間の警備員らしき人が座っている。
無視して入ってもいいんだろうか…。
横目で見ながら、エレベーターホールに着いた。
壁の案内をみると、一階が外来、二階から五階まで病室になっている。
院長室は?事務棟は六階…。
行ってみる?
考えるより先にエレベーターのボタンを押していた。
六階に着くと辺りをキョロキョロ見回した。
かすかにする消毒液の匂いと、新築の建物の匂いが混じっている。なんとも複雑な匂いがする…。
院長室は右手の一番奥か。
事務室の灯りは点いてはいるが、中は静かだ。もう誰もいないのだろうか。
スニーカーのキュッキュッて音が廊下に響く。
院長室と書いてある部屋の前に着いた。入ってもいいのかな…。
やめておこうか…。すると、いきなりドアが開いた。
「祐作~!」
聞き慣れた、かん高い声。
「か、母さん…?」ドアの向こうに立っているのは、間違いなくおれの母さんだ。
白衣を着た母さんを見るのは初めてだ。もしかしたら、すれ違っても気づかないかもしれない。
家にいる時とは、まるで違う感じがする。
「どうしたの?まさか本当に診察してもらいに来たの?」
「い、いや違うよ…。ちょっと前を通りかかったから寄ってみただけだよ…」
信じるしかないよなぁ…。こんな姿見たら。
見た事のない建物がある。
商店街を抜けたところに、白い六階建ての建物。
15年前にはなかった。
元の世界でも見た覚えがない。
『医療法人和み会元宮病院…』?
なごみ会?和み?和美?元宮?病院?
これってもしかして母さんの言っていた?…。
行ってみようか…。
ガラス張りの正面玄関。
自動ドアが開くと、広いホールになっていた。
中はまだ新しい匂いがする。
床も壁もピカピカだ。
受付には夜間の警備員らしき人が座っている。
無視して入ってもいいんだろうか…。
横目で見ながら、エレベーターホールに着いた。
壁の案内をみると、一階が外来、二階から五階まで病室になっている。
院長室は?事務棟は六階…。
行ってみる?
考えるより先にエレベーターのボタンを押していた。
六階に着くと辺りをキョロキョロ見回した。
かすかにする消毒液の匂いと、新築の建物の匂いが混じっている。なんとも複雑な匂いがする…。
院長室は右手の一番奥か。
事務室の灯りは点いてはいるが、中は静かだ。もう誰もいないのだろうか。
スニーカーのキュッキュッて音が廊下に響く。
院長室と書いてある部屋の前に着いた。入ってもいいのかな…。
やめておこうか…。すると、いきなりドアが開いた。
「祐作~!」
聞き慣れた、かん高い声。
「か、母さん…?」ドアの向こうに立っているのは、間違いなくおれの母さんだ。
白衣を着た母さんを見るのは初めてだ。もしかしたら、すれ違っても気づかないかもしれない。
家にいる時とは、まるで違う感じがする。
「どうしたの?まさか本当に診察してもらいに来たの?」
「い、いや違うよ…。ちょっと前を通りかかったから寄ってみただけだよ…」
信じるしかないよなぁ…。こんな姿見たら。