君が思い出になる前に…
「だけど、その呼び出される直前まで杉下さんの妹といっしょにいたんだよ」
「杉下さんって、恭子のクラスの?」
「そうそう!」
「祐作、モテるんだねぇ~」
上目使いでおれを見ている。
黙ってご飯を食べるおれ。
「母さん、そうじゃなくて、少しは勉強の事、心配じゃないのぉ?」
「あぁ、その事ならさっき言ったから」
「さっきって?」
「さっきこの子、病院にきたのよ。近くにきたから寄ったって」
箸の動きは止まらないふたり。
ちょっと凄いかも…。
「近く?あぁ、加賀さんと会った帰りかぁ」
ふ~んって顔しておれを見る姉さん。
「あ、そういう事なの?」
納得する母さん。
「ところであんた、中間テストどうだったの?」
と、いきなり話題を変える姉さん。
「そうそう、どうだったのよ」
また後発の母さん。「まぁね…」
言いたくない…。
「何位だった?張り出されたんでしょ?」
知ってんの?…。張り出された事。
「21番。だった…」凄いだろ…。
「ふ~ん、まぁまぁかな…」
まぁまぁかよ。
「何点取れたの?合計で」
さらに追求する、いやな姉さん。
それも言うの?
どんな反応するんだ?
「何点?」
と、母さんまで突っ込んできた。
「400点…」
上等でしょ…。
「なにができなかったの?」
で、できなかった?それだけ取れたら問題ないんじゃないの?普通…。
「え、英語…」
だから言いたくないって。
「英語?何点だったのよ…」
しかし突っ込んでくるなぁ、姉さんは…。
「0…」
ちっちゃい声で言った。
「0点!?どういう事!?」
すげぇ耳いいなぁ。しょうがない。ぶっちゃけるしかないか…。
「本当は、100点だったの!けど…」
「けど、なによ」
更に突っ込む姉さん。
えい!もうやけくそだ!
「名前書くの忘れたの!」
少々声が大きすぎた。
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