君が思い出になる前に…
理解してるのは絵美の方かもしれない。だいたい、この複雑な話しを物理学を用いて解釈するなんて凄いや…。
可愛い顔してて、おれよりもしっかりしている。
また不思議な感覚に陥ってしまった。
「大人だね…、絵美は」
「え?何で?そんな事ないよ…。まだまだ子供でいたいな…」
「だって、深く追求しないんだもの」
そう、加賀紀子の事とか、未来の事とか。
「加賀さんの事?」「うん」
「話したくなったら、聞くわ。でも今はやめとく…。あたし祐ちゃんの事、信じてるから」
それって意外とキツいかも…。
信じてくれてるのは嬉しいけど、誤解されるような事するんじゃないよって、釘を刺されたような気がする。

「明日、遊園地一緒に行ってくれる?」「もちろん…。約束したのは、おれだから」
そう、15年前にも、この世界、つまり4日前の事も、約束したのは、このおれ自身なんだから…。
それは間違いない事実。
「よかったぁ~!」家にきた時の笑顔に戻ってくれた。

 本当に絵美に話して良かったんだろうか…。
正直悩んでしまった。
紀子に話しをするのとは、全然意味が違う。
でも、SF好きとは知らなかった。
意外とすんなり受け入れてくれた事にも驚きだった。
それに告白したのは絵美の方だったそうで…。
これにも驚いた。
「この事、あたし誰にも話さないから、知らない事にしておいて。加賀さんにもね…」
絵美が言った。
「なんで?」
「その方がいいと思うの…。よくわからないし。ん~ん、よくわからないからこそ、知らない事にしておいた方がいいと思うのよ」
賢い子だ。改めてそう思った。
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