君が思い出になる前に…
「えぇ?何?いきなり…」
「聞いてもいいのかな?未来の事って」「なにも変わらないよ、今と…」
「そうなの?なんかつまんない…」
「なんだよ、つまんないって」
「あ、ごめん。なんかさぁ、未来って車が空を飛んでたり、ガラス張りの超高層ビルが建ち並んでたりとか想像するじゃない?ロボットが街の中歩いてたりとかさぁ」
さすが、SF大好き少女。面白い発想だこと。
「そんな事ある訳ないよ、たった15年先だよ。絵美って面白いねぇ」
思わず笑ってしまった。
「そうなの?そんなに笑わなくってもいいじゃない…」
口を尖らせて絵美が言った。
「ごめんごめん」
そう言いながらも笑ってしまう。
「もう!」
さらに口を尖らせた。
「ごめん、もう笑わないから」
やっと笑いをこらえた。
「変わったとすればね、携帯電話かな」「携帯電話?」
「うん、15年で凄い進歩するんだよ」
「え?え?どんな?」
興味深々の絵美。
「この時代の携帯はまだ出てきたばかりで、画面には数字しか出なかったり、モノクロ画面だったりだよね…」
「うん、パパの携帯もそうよ」
「それがカラーになって、写真を写せたり、ムービーが撮れたりするようになるの」
「ムービー?ビデオカメラみたいに?」キョトンとする絵美。
「そうだよ。それからね、着歌って言って、一曲丸々ダウンロードして携帯に保存できたりするんだよ」
「ダウンロード?」「そう、しかも何百曲も保存できるようになるんだよ、それをヘッドフォンで聴いたりするの」
「ウォークマンみたいに?」
「そうだよ、その名もウォークマン携帯」
「へぇ~凄いね!」「それからね、ラジオを聴けたり、テレビを見れたりする携帯もあるんだよ」
「うそ!凄~い!」今じゃ当たり前の事なんだけど、15年前には想像しなかったもんな、そんな事。
< 86 / 200 >

この作品をシェア

pagetop