君がいなくなって
「子供を産んでからでも、良かったんじゃない?」

そーちゃんは要らない教科書や雑誌を片付けながら言った。

「産んじゃうと色々忙しくなりそうだし。
それに早く整理したいから」


私も。

クローゼットの制服に手をかけたけど。

ハンガーを外して、そのまま捨てるつもりが。

どうしても出来なくて。

手を止めた。



「置いとけば?」

そーちゃんの声が後ろから聞こえる。

「…着ないのに?」

そう、口では言ったけど。
後ろは振り返れなかった。



我慢していたのに。

涙が止まらない。
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