君がいなくなって
「産むまで、家にいていい?」

私はようやく顔を上げた。
そしてパパを見る。

「産んですぐに働くから。
自分で生活出来るようになったら他に住むところを探すから」

今はこれしかない。

「出来るだけ迷惑はかけないようにするから…」

お願い、産ませて欲しい。

拓海くんはいないけど。

拓海くんの血を受け継ぐ子がここにいる。

殺すなんて、出来ない。



「あ〜あ」

祥太郎くんがボソッと

「俺が18だったら、真由ちゃんを今すぐお嫁さんに貰うのにな」

「祥太郎!!!」

彩子さんの罵声が飛んだ。

「だって!」

祥太郎くんは引き下がらなかった。

「そうすればお腹の子供にはお父さんはいる事になるんだから」

「お前みたいなやんちゃな男は真由ちゃんが嫌がるよ…」

賢司さんは眉間にシワを寄せて言った。
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