君がいなくなって
自分でも、レース中は今までにないほど、集中していて。

今、考えたらそれが自分の原点になったんだ、と思う。

気がつけば優勝していた。

ウイニングランでは目から涙がこぼれ続けていた。

勝ったのに。

負けたように泣いていて。

異変に気がついた隆道が心配そうに駆け寄って来た。

「そーちゃん?どうしたの?」

答えられない…

「総一くん」

そんな中、声をかけてきたのは。

拓海の両親だった。
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