君がいなくなって
実は拓海くんが亡くなってすぐに私は拓海くんのお父さんから

「うちに就職しなくてもいいんだよ。
本当は他に好きな事とかあるんじゃない?」

そう言われた。

ただ、拓海と付き合っているから、あいつの行動すべてに無理に合わせているんじゃないか、と。

私は首を横に振った。

「拓海くんは私に新しい世界を教えてくれました。
拓海くんがどっぷり浸かっていたこの世界を、下っ端でもいいから、もっと見てみたいと思います」

そう、答えたら拓海くんのお父さんは、そう、と言って優しく笑っていた。

現に。

車よりも先にバイクの免許を取ったし。

もし拓海くんに会わなければ、私はバイクに乗る事もなかったと思う。
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