君がいなくなって
「総一」

今度はそこそこの年齢の人が声をかけてきた。

「調子はどうだい?」

「ん、まあまあかな…」

そう言って微笑むそーちゃんは少し陰りのある表情をしていた。

「…それと招待状、ありがとう」

と言ってその人は私を見つめた。

「紹介するね、俺の妻になる平野 真由さん」

私は頭を下げた。

「真由、俺の、父さんだよ」

私は思わず固まってしまった。

そーちゃんとは全く血の繋がっていない、お父さん。

「今日の夜、3人で食事でもしないか?」

「俺はいいけど…」

そーちゃんは私を見た。

その誘いを断れるはずもなく…



私は何となく不安で押し潰されそうになった。
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