君がいなくなって
「真由ちゃ〜ん!」

またか。

私は玄関を開ける。



結婚してから、ますます祥太郎くんが家に来るようになって。

ご飯を食べていく事が多い。

そーちゃんも別に追い返す事もなく。

逆に帰りが9時前後になるので、自分がいない間、番犬代わりになると言って笑っていた。

「今日は何作るの〜?」

祥太郎くんは何かと手伝ってくれる。

「今日はカレー」

そう言うと嬉しそうに笑って、率先して手伝い始めた。



「あれ…?」

そーちゃんが帰って来るまではまだ2時間くらいある。

作り終わって、テレビのある部屋で祥太郎くんは寝ていた。

タオルケットを出して、そっとかける。

寝顔を見ていると。

まるで拓海くん。

本当によく似ている。



しばらく私もうとうとと眠っていた。



「…真由ちゃん?」

見上げると祥太郎くんが起きていて。

タオルケットを今度は私にかけてくれた。

「あっ、ごめんね」

起き上がろうとしたけど起き上がれなくて。

「そーちゃんが帰って来るまで寝てたら?」

と言って傍に座った。

「真由ちゃん」

祥太郎くんはまともに見ていないテレビ番組を見つめながら

「まだ、兄ちゃんの事、好きなんでしょ?」
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