君がいなくなって
私は寝ながら目を見開いた。

そして祥太郎くんの顔を見上げる。

相変わらず、祥太郎くんは真っすぐテレビを見つめていて。

「…時々、俺を見て、苦しそうにしているから」

祥太郎くんは私を見下ろした。

「俺も最近、自分で兄ちゃんに似てきたと思う。
だから真由ちゃんが俺を通して兄ちゃんを見ているのもわかる」

祥太郎くんはため息をついた。

「俺がたまらないのは、真由ちゃんが自分を責めている事だよ。
そーちゃんと結婚したけど、どこかで兄ちゃんに悪いって思ってない?
またそーちゃんにも悪いって思ってない?」

なんで。

なんでこの子は。

そういう事がわかっちゃったんだろう。

込み上げてくるものを私は歯を食いしばって我慢した。
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