君がいなくなって
「時々、真由ちゃんの目は俺を見るときも、そーちゃんを見るときも、凄く辛そうにしているよ」

私は耐え切れなくなってタオルケットを顔に埋めた。
涙が止まらない。

「真由ちゃん」

祥太郎くんは一呼吸置いて

「俺が兄ちゃんなら、真由ちゃんを責めないよ。
何があっても。
そーちゃんも真由ちゃんを責めないよ。
だから…」

私はタオルケットで涙を拭いて祥太郎くんを見上げた。

「もう、自分を責めないでよ。
兄ちゃんは真由ちゃんが幸せに暮らしてくれたらそれで満足だと思う。
そんな風に悲しそうな顔をしていたら兄ちゃんも悲しむから」

私は何度も首を縦に振る。

「真由ちゃんは自分の幸せを考えなよ。
そーちゃんは何があっても真由ちゃんと子供を守るし、大切にしてくれる。
そーちゃんは、今、すごく幸せと思う。
自分の本当の子供じゃなくても産まれてくる子供を心待ちにしているんだよ」

祥太郎くんが言い終わると同時に玄関の開く音が聞こえた。

そーちゃんが帰ってきたんだ。
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