君がいなくなって
「…俺は言わない」


そーちゃんは即答だった。


「言っても、仕方のない事だし。
何かでバレたら言うだろうけど、俺は言わないよ」

そーちゃんはそう言って、私の手をそっと握ってくれた。


「うん、その方がいいね。
もし、出来るなら一生言わない方がいい。
二人だけの中に留めておけるなら、それが一番だな」



多分、お義父さんはそーちゃんに自分が本当の父親でないことがバレてから。

ずっと後悔しているんだろうね。



陰で。

そーちゃんのレース資金を出したり。


私に対しても

お腹にいる子供はそーちゃんの子供じゃないのに。

優しくしてくれる。



なんだか、胸がいっぱいになる。
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