【短編】黒板に、その2文字を
好きな人
私の好きな人は
滅多に笑わない。
みんな口を揃えていう。
「先生の笑ってる顔見たことないよね」
って。
それに付け加えて
「すずがうるさいのが1番の原因じゃない?」
と私のせいにして笑う女友達。
でもそれは、
違うもん。
全然違うもん。
みんなが思ってるほど、私は先生が好きで。
みんなが思ってるほど、私は先生のことを知っている。
先生は笑う。
1日1回。
放課後、みんなが教室からいなくなった時。
先生は1つ1つの机を見つめながら優しい笑顔で笑う。
私がそれを見ちゃったのは、忘れ物を取りに教室へ戻った時、先生が教室にいるのをみて、ドアの前で足を止めちゃったのが始まり。
その時、先生の優しい笑顔が夕日に照らされてるのを見て、私は完全に先生の虜。
それからは何回か教室を覗いては先生を隠れて見ていた。
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